2026/11/02
お知らせ
図面の精度を、どう超えるか。日々のチャレンジと工夫が、結局いちばん面白い|コアマシナリー(京都・福知山)
里山×余白 「答えがないまま、もがきながらやることが楽しさなのかもしれない」―機械加工の細見さん
「機械加工の仕事は、決められた手順の繰り返し」。そう思っている方に、知ってほしいことがあります。当社の機械加工は、図面を受け取ってからが本番。どう削るか、アームで材料のどこをつかむか。その作り方を決めるのは、担当者自身。トライアンドエラーの積み重ねが、現場の集合知になっています。機械加工を担う細見さんと岡本社長に話を聞き、私たちの仕事の真ん中にある「創意工夫の余白」についてお伝えします。
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切削加工歴18年 細見さん
作り方は、図面のあとに自分で決める
細見さんは、当社で機械加工一筋に取り組む技能者です。毎日、一人で2〜3台の機械を受け持ち、図面ごとに主に切削という工程での加工を進めています。
図面を見て最初に考えるのは、どの面から削るか、アームでどこをつかむのか、どの刃物を使うのか。
完成までのルートを頭の中に複数描き、より精度を高められる方法を工夫しながら取り組んでいきます。
端の厚さわずか2mmのアルミテーブル。ネジも接着剤も使わずに、906個の部品を嵌め合わせた組子ランプ。新聞でも紹介された、当社の技術力。この技術力は、実は技能者一人一人の判断の集合知の積み重ねの上に成り立っています。
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マシニング作業中の細見さん
機械を動かす前に、判断が残っている
加工は、CAD(Computer Aided Design・設計用ソフト)のデータで寸法を確認し、CAM(Computer Aided Manufacturing・加工用ソフト)で機械が読めるプログラムに変えるところから始まります。そのあと、刃物を選び、材料のつかみ方を決め、加工条件を整える。機械が自動で動くのは、この準備が終わってからです。段取り(どの順番で、どう固定して、何で削るかを決めること)には、担当者の判断が残ります。
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切削を行う、マシンの数々
「作り方は基本的に決まっていない。図面を渡された後は、自分の方法で作っていく」と細見さんは話してくれました。また、どの部品をいつ切削するかも、一週間ほどの予定を担当者自身が立て、その日の作業を組み立てながら進めるスタイルです。急ぎの案件が入れば、職場長からの差し込みや担当の変更も発生しますが、基本は各自が決めた方法で、日々優先順位や、やり方を判断しながら仕事を進めます。
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切削後の金属。ここから磨く等次の工程に進みます
正解がないから、集中できる
細見さんは機械加工の仕事を、「答えがないまま、もがきながらやることが楽しさなのかもしれない」と話します。材料は、思いどおりには反応してくれません。切削の熱で寸法が変わる。内部に残っていた力が抜けて、くり抜いた瞬間に反ることもある。同じ材料でも、削る順番や固定の仕方で結果が変わります。その読みを外さないために、最初の段取りにいちばん頭を使います。
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図面通りに作れているか、穴の大きさを検品中
30代・40代を中心に若手が多い職場でもあるため、聞けばすぐに答えが返ってくる環境ではありません。同世代で経験を持ち寄り、外の情報も調べ、自分たちで答えを探しながら加工をしています。
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マシニングについて先輩に相談中
最初は分からなかった。ある日、理解がほどけた
細見さんも、最初から機械加工の経験者として入社したわけではありません。入社後1年ほどは、自分が何をしているのかつかめず、もがいた時期があったそうです。当時は今ほどCAMが整っておらず、CADの寸法を拾って、自分で数値を入力していたといいます。
転機は、「マシニングは点と点をつないで形にしていく」という教えでした。子どもの点つなぎ遊びのように、機械が点を順番にたどりながら材料を削っていく。そう分かったとき、細見さんは「自分の中で理解がほどけた」と振り返ります。バラバラだった知識が、一本につながった瞬間でした。
細見さんは、切削初心者に加工を説明するとき、料理のレシピにたとえます。最初は書かれたとおりに作り、慣れると切り方や順番を変えて、よりおいしい味を目指す。加工も同じで、慣れてくると、つかみ方も、削る順番も、刃物も変えられるようになると話します。
切削された部品が、図面で示された品質基準に入っていても、基準ぎりぎりでは出さない。加工面に波状の跡が残らないか、もう一段上の状態にできないかを日々考えます。そこまで踏み込めるようになると、日々の創意工夫の楽しさと、加工技術の熟練が始まります。
切削の奥深さを楽しそうに語る、細見さん
話す余白である、雑談の時間
本社側も工場側も、毎朝の朝礼のあとに雑談の時間があります。最近あったこと、趣味、家族のこと。毎日続けると話題探しに困る、という率直な声もありますが、部署の中で互いの人柄を知り、発言する練習にもなっている良い機会。
そんな雑談の中には、家族との毎日の話も出てきます。細見さん自身も、朝はお子さんを学校まで送ってから出社する日もあるそう。「帰りは自分でバスで帰ることも多いけど、行きはこどもと一緒に来てるかなぁ」と細見さん。仕事の時間だけでなく、家族と過ごす暮らしの時間も含めて、無理なく仕事を続けられる。当社では、里山でのそれぞれの心地よい暮らしと、働くことの豊かさをともに叶える未来を作っていきたいと考えています。
岡本社長に聞く。-なぜ、細かく決めず”創意工夫の余白”を残すのか-
私たちは、なぜ作り方も、設備の使い方も、細かく決めないのか。岡本社長に聞きました。社長は、「自分で決め、自分で組み、実践して得た結果が、うまくいったときに最も本人の中へ残る」と話します。
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コアマシナリー株式会社 岡本社長
会社が設備を買って「これを使いなさい」と渡すだけでは、広い意味での指示待ち状態をつくることと変わらない。「自分で勝ち筋を考え、ゴールへ向かいたい人にとって、会社が用意する枠が狭すぎれば、仕事はどんどん窮屈になる。設備についても、現場が自分たちをよくするために何が必要かを考え、選び、決められる状態が理想だ」と岡本社長はいいます。
当社は少量多品種の会社なので、担当者が一人親方のようになりやすい仕事です。だからこそ、会社の方針と未来像を共有したうえで、各自がそこへ向かって動くことが、仕事の性質にも合っていると、社長は考えています。
余白があるからこその方向性の確認
任せた結果、会社の向かう方向とは違う場所へ進むこともあり得ます。そのため「半年ごとに結果を確認し、修正が必要か、さらに加速するかを本人と合意する」と社長。緊急性が高いときは途中で止めることもありますが、基本的には、一定の結果が出るまで実践してもらい、その結果を本人が受け止める機会を、最低年2回はつくっています。
任せることと、確認することを組み合わせるのが、当社の”創意工夫の余白”のつくり方のベースになっています。
一緒に働きたいのは、こんな人
- 同じことばかりでは飽きる人、変化がある方が楽しい人。
細かな指示を待って、言われたとおりに進めたい方には、負担が大きいかもしれません - 図面ごとに考え、うまくいかなければ別の方法を試せる人。
- 最初から自走できなくても大丈夫です。
社長は、進み方がまだ見えない人にも、プロジェクトを通じて、自走する人の考え方を追体験してもらうと話します。
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切削加工を行う、第二工場は里山の高台にあります
細見さんが次に触ってみたいのは、今とは違うタイプの加工機です。
新しい機械を前にして、使い方を一から考える。
その時間が、面白いそうです。
作り方が決まっていないから、考える。
考えた結果を、自分で受け止める。
私たちはその”創意工夫の余白”を、機材や時間、半年ごとの面談で支えています。
里山の工場で、答えのない仕事を面白がれる方。
ぜひ一度工場(こうば)に遊びに来てください。
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